遺産相続での兄弟姉妹関係の悪化を防ぐ方法
誰しもが家族との絆を大切にしていると同時に、人生の特定の局面で予期せぬ争いに直面することもあります。
特に「遺産相続」という場面においては、親が健在だった時には想像もつかない問題が発生することがあります。
良好な兄弟姉妹関係が、遺産をめぐる問題で次第に悪化していく状況は決して珍しくはありません。
このような複雑な問題を解決し、家族が円満に相続問題に対処するためには知識が必要です。
そんな中で役立つのが『家族がモメない方法』という一冊です。
松原昌洙著「家族がモメない方法」とは?
『家族がモメない方法』は、毎日新聞出版から2020年に発行された松原昌洙氏による実用書で、これまでに2000以上の遺産相続トラブルを解決してきた氏の豊富な経験が凝縮されています。
著者の松原氏は、「共有名義不動産」や「借地権」という専門分野において特に知識を持っており、これによって他の専門家が見逃しがちな視点で相続問題に取り組むことができます。
「実際に遺産をどのように分けるか」という具体的な方法について、トラブルが起こる前に何を準備すべきか、焦点を当てた内容です。
トラブルの主な要因「共有名義」の問題
相続において、兄弟姉妹間でよく持ち上がる問題の一つが「共有名義」です。
多くの家族が持つ不動産を兄弟姉妹で分ける際、法的には「共有名義」となってしまうことがよくあります。
しかし「共有名義」にすると、売却や譲渡などの手続きを行う際にすべての共有者の同意が必要となり、これが原因で予定していた手続きが進まないことも少なくありません。
本書では共有名義がもたらす具体的な問題について詳しく解説されており、前もって準備すべき対策についても触れています。
地主とのトラブルになりがちな「借地権」
多くの土地所有者が直面する可能性がある「借地権」の問題も本書では解説されています。
土地に対する権利があると漠然と考えていても、実際にはその土地の使用権や建物の維持管理についての知識がないばかりに、借地に纏わるトラブルで困惑してしまう例があるのです。
借地権は地主と被借地者の関係を円滑に保つために非常に重要な要素です。
知らずに譲渡や変更を行うと、予期せぬトラブルに発展するケースがあるため、相続の場面でも注意が必要です。
改正された「相続法」がもたらすリスク
令和元年に相続法の改正が行われましたが、これが結果的に新たなトラブルの元となってしまう可能性があります。
改正された法律では、より公平な分配を意図していますが、その一方で新しい法律を把握せずに当てはめようとした結果、家庭内の摩擦が生じることもあるのです。
特に、法改正について全ての相続人が認識し、理解していることが必要であり、躓きを防ぐためには事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
現代に求められる「事前対策」の重要性
相続というものは、親族や兄弟姉妹間の関係に大きな影響を与える可能性があるため、事前にしっかりと準備をしておくことが必要不可欠です。
本書の魅力は、困った時の解決方法を示すだけでなく、いかにしてそのような状況に陥らないように備えるべきか、という事前対策にも焦点を当てているところにあります。
それぞれの家庭の事情に応じた具体的なアドバイスが含まれ、予備知識を持っておくことが不意のトラブルを避ける最良の方法であるとしています。
まとめと読者へのメッセージ
遺産相続にまつわるトラブルが家族に与える影響には計り知れないものがあります。
それを防ぎ、円満な相続を実現するためには、正しい知識を持ち、準備を整えることが重要です。
松原昌洙氏の『家族がモメない方法』は、そのためのガイドブックとして非常に有用です。
これから親の資産を相続する可能性がある方、または既に相続に直面している方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
しっかりとした準備と知識を持って、家族の絆を守っていきましょう。